身の丈に合う尺貫法
弊社の商品のサイズを見ていて「なんか中途半端なサイズだなぁ」と思う方もいるかもしれません。例えばジレストールのサイズを見ると「L 152cm × w 45cm」となっております。152cmの2cmの部分に豊かさを盛り込んでいるような訳ではなく、単純に瑠璃猫の商品は和裁で使う尺貫法を用いている為、メートル法で表すと半端なように感じる数字になってしまっているのです。ちなみに、152cmはピッタリ4尺です。
尺貫法とは、「長さの単位を尺、質量の単位を貫、体積の単位を升とする日本古来の度量衡法。メートル条約加入後、1891年(明治24)メートル法を基準として、尺・坪(面積の単位)・升・貫を定義し、1958年(昭和33)までメートル法と併用されていた。」と、スマホさんが教えてくれますが、実は尺貫法は一時的に廃止されているのですが、なんだかんだと生き残っています。特に多くの日本の皆様が目にする機会が多いのは面積の単位である「坪」ではないかと思います。これは土地の広さを測る時にはまだよく用いられていますよね。一坪は3.3㎡ですが、「畳2枚分」と言われるとなんとなく大きさが分かる人が多いのではないでしょうか?もっとも、最近の日本の家屋は和室がなくなり、畳に馴染みがない日本人が増えているのも事実です。尺貫法は、確かに廃止されてはいますが、結局人々の生活や身体の大きさに根差した単位であった為、生活の中で生き残っています。ただし、昔からの単位なので、地域や使用目的などで差異があります。例えば関東圏で1尺と言えば37.88㎝(約38㎝)ですが、これは鯨尺(くじらじゃく)を用いているためで、青森など東北地方では曲尺(かねじゃく)を用いるので30.303㎝(約30㎝)と、まったく長さが違ってしまいます。ちなみに建築で用いられているのも、この曲尺です。
このように煩雑でアバウトなサイズ、逆に何で生き残ってしまったのでしょう?
わざわざ廃止にしたのに!?
私自身、和裁を習い始めた頃はこの尺や寸、分、厘、丈という単位に馴染めず、なんだかとんちんかんな数字を平気で言ってしまったりしていました。でも、使っているうちになんとなく感じられたのです。「この単位は物を、特に布を扱うときに馴染みやすいな」、と。布というものは柔らかく、伸び縮みをし、ちょっとした加減で曲がってしまいます。そこには「1分(ぶ 1寸の10分の1)、2分」であったり、「5厘(1分の半分)ほど控えて」などという単位の方がしっとりと馴染むのです。それは「4㎜、8㎜」や「2㎜」と言う数字とはちょっと違います。メートルが制定された時、1メートルは地球のパリを通過される子午線全周の4千万分の1と定められたように(その後色々変化します)、そもそも地球というとても大きな物を測る単位として制定されています。それはそれでスケールの大きな話ですし、おかげで何となく「地球1周は4万キロ」と覚えやすいので、メートルという単位は世界基準として便利だと思っています。でも、その単位は、人が身に着ける物を測ろうとする時に、なんとなく冷たさを覚えてしまうのです。
そのような理由で、瑠璃猫の商品は、メートル法で表すと、微妙なサイズで作られています。それは、身に着ける人に寄り添いやすいように。馴染みやすいように採用している単位が鯨尺だからなのだと、ちょっと心に留めておいていただけますと幸いです。